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モータリゼーションの進展による郊外化で、中心市街地の空洞化がはじまったのが1990年代。平成10(1998)年には中心市街地活性化法(旧法)が制定されましたが、中心市街地は衰退の一途を辿っています。
その後、バブル崩壊、消費者のライフスタイルや価値観の変化、インターネットの普及など、環境も大きく変化しています。しかし、全てがシャッター街と化しているわけではなく、活気活力を維持しているまちもあります。九州・沖縄地域の県庁所在地の中心市街地を歩き、活気活力の違いとその要因を探ってみました。
INDEX
九州・沖縄地域には、人口100万人の政令市、福岡市と北九州市があります。2011年3月には九州新幹線が全線開通。観光客の増加による地域経済への波及効果が期待されています。また、長崎市は平成22年、NHK大河ドラマ「龍馬伝」の効果で観光客数が50万人増、経済波及効果は191億円とされています。
| 福岡市 | 佐賀市 | 長崎市 | 大分市 | 宮崎市 | 熊本市 | 鹿児島市 | 那覇市 | |
| 人口(万人) | 146 |
23 |
44 |
47 |
40 |
73 |
60 |
31 |
| 観光入込客数(万人) | 1,,660 |
349 |
610 |
367 |
600 |
571 |
884 |
571 |
| 観光消費額(億円) | 3,022 |
160 |
1,109 |
348 |
- |
642 |
901 |
4,030 |
| 大型店・店舗数(店) | 194 |
55 |
51 |
95 |
68 |
110 |
86 |
38 |
| 自治体財政力(歳出)億円 | 6,765 |
792 |
1,992 |
2,106 |
1,345 |
1,464 |
2,045 |
998 |
| 一人当りの自動車保有台数 | 1.00 |
1.39 |
0.83 |
1.31 |
1.22 |
1.12 |
1.09 |
.092 |
※観光入込客数、観光消費額は、共通基準前の参考数字。大分市はH17データ
九州・沖縄地域の中心市街地のうち、福岡市と那覇市は、その特殊性から、他の都市と区分して紹介します。2つの都市は観光消費額も全国トップクラス、他と比較になりません。ただ、活性化して見える2都市にも課題がないわけではありません。特に那覇の衰退は数字にも表れ、まちを歩くとさらに忍び寄る影を感じます。
福岡市は人口146万人の政令市。現在、中心市街地活性化基本計画が作成されているのは東区「香椎地区」のみ。施策の中心は商店街活性化支援に関するもので、中心市街地活性化としての取り組みは見られません。しかし、賑やかに見える中央区の「天神」や博多区の「中州」「キャナルシティ」でも、全く問題がないわけではありません。
九州最大の繁華街「天神」は来街者の自動車渋滞、路上駐輪などが街の魅力の低下させると懸念されています。1996年オープンし、先日、来場者2億人を突破した複合商業施設「キャナルシティ博多」は、九州新幹線全線開通に合わせ、2011年9月増床後、一月間の来場者は70%増加しました。しかし、2009年秋、2010年末、キャナルシティと歩道橋で結ばれた「上川端商店街」を歩く観光客の姿はほとんど見られませんでした。
キャナルシティの川をはさんだ向かいには「中州」もありますが、上川端商店街は博多祇園山笠の櫛田神社とつながった、個性ある個店が多数見かけられる商店街。磨けばもっと面白い地域になると感じますが、こうした小さな資源は生かされず、人気のスポットだけに人が集まり、それが地域の面白さにつなげられていません。
東京では、銀座、渋谷、秋葉原、池袋、まちにはそれぞれ個性があり、まちを回遊して楽しむスタイルが確立されています。博多は魅力的なソフトを有する九州の雄ですが、日本政府観光局(JNTO)「訪日外客訪問地調査2010」で、都道府県訪問率のベスト3は、1位東京60.3%、2位大阪府26.1%、京都府24.0%。福岡は訪日客の中心である中台韓に近接しながら、神奈川県、千葉県、愛知県に次ぐ第7位9.1%と後塵を拝しています。その理由はどこにあるのか。福岡・博多は個人的にも大好きなまちではありますが、振り返ってみると、食以外で、ここに行かなきゃと思うところは意外とないようにも感じます。
那覇市の中心市街地で、重点施策地域とされているのが、那覇の顔「国際通り」を中心とする、沖縄県の商業集積エリアです。那覇にあっても、中心市街地の定住人口は1985年度は市の人口の15%を占めていたものの、1998年度には12%に低下。都心部での人口流出が続いています。 年間販売額の中心市街地の占有率も、1979年60.8%が、1994年には34.6%に半減。商店数も10数年間で20%以上減少しています。
また、沖縄県の主要ホテルの稼働率は2003年をピークに低下傾向にあります。沖縄の観光関連業で指摘されているのが、後期(10-3月)オフシーズンの業績不振です。私が歩いた2009年秋も、国際通りを歩く人の姿はまばらでした。気になったのは、国際通りが未だ昭和の土産物観光の様相を呈し、今人気の新大久保や谷中のような魅力的な店舗やまちの面白さを見出せず、歩いても楽しくない、買いたいものがないことでした。
国際通りから枝葉に伸びる商店街には、観光客の求める、より沖縄らしいものも発見できますが、それもごく一部の店舗に過ぎません。一部の店舗の店には観光客の姿も見られるものの、ほとんどは閑散としていました。多くの通りに衰退の影が見られ、中には廃墟化した通りもありました。商店街の老朽化、経営者の高齢化も見られます。
九州・沖縄地域のの中で、特に衰退が激しいのが大分市と宮崎市です。これが県庁所在地の中心市街地なのかと思うほど、その衰退は激しく、言葉を失います。宮崎市は平成19年、大分市は平成20年に、中心市街地活性化基本計画の認定を受け、いずれもコンパクトシティを目指すものとなっています。
2009年秋の大分駅前、手前が「駅北」の既成市街地です。大分市の基本計画では「駅南」を新たな情報文化新都心として「複合文化交流施設」等の整備を行う予定で、駅北を「こだわりに出会える価値観の高い商業地」へ再生させ、大分駅南北都心形成を目指すとしています。しかし、駅で南北を分断されたまちづくりは、南の発展が北の衰退を加速させる可能性もあります。
けたたましいパチンコ屋の騒音が通りに充満するほかは、歩く人はまばら、メインストリートにも人影はなく、商店街一帯は閑散としています。旧大分サティ跡地に平成22年10月「総合食料品スーパー」がオープン、前面の歩行者通行量が大きく回復したとありますが、平成23年1月には大型商業施設「大分パルコ」が閉店しました。
この2年、全国の中心市街地を歩いてきました。その中でも大分は、商店街という「まち」としても、個店の「魅力」の面でも、活気活力を失っているように見えました。もちろん、季節や時間帯などにより、印象は異なると思います。しかし、中心市街地の人口はわずか1万3千人、市の人口の2.8%に過ぎません。大分市は、大型店・店舗数96、一人あたりの自動車保有台数1.31で、九州・沖縄地域でも高い数字を示しています。
シャッター街となった商店街の一角に、路上店舗があり、高齢者の方がお買い物をされている姿を見かけました。地権者の問題などもボトルネックになっていると思いますが、本当にここを再生したいなら、どうしてここを「情報文化新都心」として再生させる道を考えられなかったのか。空き店舗だらけのまちで路上店舗が一番の賑わいを見せているのは皮肉です。この規模の商業地を、抜けた下駄の歯を埋めていくような施策で活性化するのは極めて難しく、根本的な解決には、まず活性化の視座そのものの検証が必要ではないかと感じます。
宮崎市については、平成23年4月に出されたフォローアップ報告で、歩行者通行量が、目標の84,600人には遠いものの、基準年(平成18年)59,219人から、平成22年63,029人へ微増となりました。これは「山形屋」百貨店の増床、前タレント知事の人気で宮崎県庁などを訪れる観光客の増加などの効果と分析されています。
宮崎市の中心市街地は、JR宮崎駅から、宮崎のメインストリート橘通りの商業エリア、そこにつながる宮崎県庁などの官庁エリアで形成されています。宮崎市の基本計画は「橘通りを中心とした公園化」をコンセプトに、にぎわい・まちなか居住環境・就業機会を増進させるコンパクトシティの実現を目指すものです。
駅から中心市街地に伸びる「高千穂通り」と宮崎のメインストリート「橘通り」が交差する角には、鹿児島・宮崎に展開する百貨店「山形屋」、地元百貨店「ボンベルタ橘」、「カリーノ宮崎(前身は寿屋百貨店)があり、橘通り沿いに商店街が広がっています。メインストリートには花や木が多く見られます。老舗なのか、中高年の女性客で賑わうレトロな喫茶店もあり、チェーン店ではない個性店に出会える楽しさもあります。
歩行者数は通りによって差はあるものの、商店街を歩く人の姿は多くありません。メインストリートに買い物客のものか自転車が駐輪されているのも地方都市ならではか。ただ、百貨店前の駐輪は景観を阻害し、百貨店やまちの魅力を低下させます。通りによっては大量の放置自転車があり、荒廃したイメージを与えます。
ただ、宮崎と大分が大きく違うところは、「点」ではありますが、面白いと感じるまちづくりの取り組みが見られることです。まだまだアイデアの域ですが、「猫の足あと通り」など、まちを楽しくしようとする試みに、まちの人の思いが感じられます。ただ、南国のメインストリートに、この暗いアーケードは必要でしょうか。

もう一つは、「山形屋」の裏手の路地裏に、小さいけれど、個性的な個店が集積し、楽しく買い物をしたり、食事を楽しめる店が見られることです。絶品といえる「焼カレー」を出す店には若い人が多く見られました。これだけを食べるために宮崎に行ってもいいと思わせる一品でした。(宮崎取材レポート「絶品グルメ」はこちら)
しかし、そこからさして離れていない商店街の中に、この廃墟化し放置された一角を見ました。「文化ストリート商店街」、ここでは若者を中心に「文化ストリートアート化計画」という取り組みもあるようですが、今のところ行政とのつながりは見られません。ここはそのまま放置されるのか。安全上の問題はもちろん、これを見ないことにし、放置したままのまちづくりには疑問を持ちます。
宮崎の中心市街地で、観光地と呼べるものは「宮崎県庁」だけ。それも前タレント知事の在任期間のこと。2010年3月県庁脇の「宮崎物産館」は宮崎駅の売店より賑わっていましたが今はどうでしょう。宮崎市の中心で一番魅力のあるエリアが橘通りから県庁に続く並木とは。駅の観光案内所のガイドマップの中身もスタッフのホスピタリティも非常に低く、残念でした。ただ、宮崎に魅力ある地域資源がないわけではなく、もっと宮崎の楽しさの本質が何かを見つめなおし、その面白さを発信してほしとい感じます。
続きは、「まちづくりの教科書」(冊子版)のみでのご提供となります。
2009~2011年、全国60箇所の地域を歩き、地域活性化・まちづくりの取り組みを取材。「まちづくりの教科書~中心市街地活性化、商店街活性化編(冊子)」にまとめました。まちづくり講座の受講者、地方自治体や商工会議所・商工会等の地域経済団体で、まちづくりに取り組まれている職員や経営指導員の方に差し上げています。
まちづくりの教科書 No.1中心市街地・商店街活性化編
A4版16ページ(2011年12月編集発行)
目次
1.改正中活法から5年、中心市街地活性化、コンパクトシティ政策の検証
(1)事業検証~富山市にみる「コンパクトシティ政策」の問題点
(2)事業検証~青森市の「コンパクトシティ政策」と観光まちづくり課題
(3)比較検証~九州・沖縄8つの県庁所在地「中心市街地」の活気活力
2.活性化の条件、活気活力のある中心市街地・商店街は何が違うのか
3.観光まちづくりによる、中心市街地、商店街のにぎわい創出
※まちづくりの教科書は、No.1中心市街地・商店街活性化編のほか、No.2観光まちづくり編、No.3地域ブランド・シティセールス編があります。発送・申込は2012年1月から受付を開始します。
中心市街地・商店街活性化はこちら
※地域活性化・まちづくりに関するコンサルティング、企画コーディネート、講演執筆のご依頼・お問い合せは、お気軽に。「お問合わせフォーム」、またはお電話にてご連絡ください。
改正中活法(新法)以降、国の認定を受けた基本計画
・熊本市 中心市街地活性化基本計画(熊本地区) 平成19年5月認定
・宮崎市 中心市街地活性化基本計画 平成19年5月認定
・鹿児島市 中心市街地活性化基本計画 平成19年12月認定
・大分市 中心市街地活性化基本計画 平成20年7月認定
旧法主体の基本計画(まちづくり三法改正による見直し含)
・佐賀市 中心市街地活性化基本計画 平成17年策定(平成18年見直し)
・那覇市 中心市街地活性化基本計画 平成11年策定(平成14年見直し)
・長崎市 まちなか再生 中心市街地活性化基本計画検討中
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