
2008.3.27 水津陽子
エコタウン事業とは、地域の産業蓄積などを活かした環境産業の振興、環境調和型まちづくりを支援する国の補助事業は、現在、全国で26箇所が承認を受けています。しかし、多くは大企業主導で、場所を提供しているだけ、実際の地域産業、雇用にどれだけ結び付いているのか。
また、開発ありきで、作っても、品質や販路の問題で売れない。収益性が得られていない。、行政の財政的補てんによって、なんか成り立っている例も少なくありません。その中で、北東北におけるリサイクル産業で、きらりと光る大館市の取り組みを取材させて頂きました。
事例1.廃ブラ・廃木材から、ハイクオリティな人気の新建材-秋田ウッド-
事例2.ペットボトルキャップ・リサイクルを成功させたビジネスモデル
大館に入り、市役所で、大館におけるエコタウン事業の概要についてレクチャーを受けた後、最初に、廃プラスチックと、廃木材を原材料とした新建材の製造をおこなっている秋田ウッド株式会社を案内してもらった。
特徴1 木の質感持つ、廃プラリサイクル材
いわゆる「木材・プラスチック再生複合材」といわれる分野であるが、秋田ウッドの特色は、廃プラと廃木材の配合割合が、45:55で、廃木材を多く含んでいること。施工例を視認するだけなら、これが廃プラリサイクル材だと気づかないかもしれない。
特徴2 ささくれない、腐らない、再リサイクル可能
素材特性については、木材と比較して、長期の耐久性、軽さ、吸収性、製品のばらつき、或いは再資源化の面でも優れている。特に、床面に使用しても、ささくれたり、腐ったりしないので、床やベンチでも安心して使える。また、この素材の強みは、再リサイクルが可能な点。
特徴3 地元企業が社長になり、地域産業を創出
最も注目したいのが、この会社は地元の企業(建設・運輸など6社)と中央企業(ミサワなど2社)が共同出資し設立。しかも地元企業が主導し、社長にも地元企業から輩出している点にあります。リスクをとって、挑戦する人間がいない限り、地域再生など、夢のまた夢である。
特徴4 100%リサイクル、多回リサイクル
作業行程を一通り見せて頂いた。製品を創る段階ででるこうした端材も再リサイクルされます。秋田ウッドの製品は、「再生有機系建材認定基準」(国交省外郭団体/(財)日本建築センター)において、資源・製品・回収レベルで環境性能が優秀として、第一号に認定されています。
特徴5 カンバン方式、5S、当たり前ができている
当り前のことができない、それが世の常だが、秋田ウッドは製造業は、見事にそれを実行していた。イチローは「小さなことを多く重ねることが、とんでもないところにたどりつくただ一つの道だ」と言っていますが、ビジネスも同じ。また、それがプロであること、本物の条件でもあります。
特徴6 ナチュラルな色、豊富な金型が魅力
地域では、品質やデザインにおいて、マーケットや顧客の要求を満たす製品サービスの開発が必ずしも行われていない。それではモノは売れない。ここでは、小規模な事業者の強みは、手間とコストかかるが豊富な金型を使い、デザインの多様性を生み、魅力となっている。
大館市のエコタウン事業は、平成11年に秋田県が調査事業を実施。 廃プラスチック・廃木材を活用した新建材製造事業を含むエコタウン計画を策定。 同年承認を受けたところから始まっている。平成12年、 廃プラスチック廃木材活用新建材製造事業化研究会が設立され、 県北事業者・地方自治体等、約50名参加。 新建材事業化可能性調査実施したのち、平成13年有志により企業化についての検討がなされ、平成14年会社設立という歴史をたどってきている。
その後、平成15年に事業所が完成。本格的な操業を開始したのは平成16年3月。4年間事業を進めてくる中、その環境性により、よこはま動物公園「ズーラシア」の手すりや「日本医科歯科大学」や「京王百貨店」新宿店屋上のデッキなどで採用され、大規模な開発で引き合いが増えている。
またそれと同時に、今注文が増えているのが、一般の住宅の需要だという。今後、こうした一般の需要をいかに喚起していくことができるのか。また、これを建材メーカーではなく、どう秋田ウッドの独自ブランドとしていけるか。ここが地域環境ビジネスとしての真の成功へ向けた勝負どころとなる。
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施設整備費 総事業費 15億5千万円(補助対象 14億2862万円) 製造能力 2500t/年 ※木材・プラスチック再生複合材JIS規格A 5741(H19認定取得準備中) |
ペットボトルのリサイクルが一般化する中、ペットボトルキャップのリサイクルは進んでいない。年間200億本といわれるペットボトルの消費量がある中、キャップについては、燃えるゴミとして焼却されるか、燃えないゴミとして埋め立てられるか。
一部のNPO活動において、これを集めて、リサイクル業者に売り、世界のこどもにワクチンを届けるという活動がなされていますが、地域のリサイクルは進んでいません。
このペットボトルキャップのリサイクルに、大館市では、市民・行政・リサイクル企業が協働し、このリサイクル取り組んでいます。
市内の小中学校で、キャップ集め、回収
ペットボトルの回収を担っているのは、市内の小中学生です。子供たちは、家庭などで出るペットボトルのキャップを集め、学校に持ってきます。環境教育の一環として、大きな効果をあげています。
キャップの洗浄・選別は、福祉施設で
回収したキャップの洗浄や選別を担っているのは、市内の福祉施設です。作業料収入はごくわずかですが、重度の障害を持つ方でもできる作業で、機能訓練としても役立っているそうです。
リサイクルは、秋田ウッドが手作業で社会貢献
回収・洗浄選別され、持ち込まれたキャップのリサイクルは、廃プラリサイクルの「秋田ウッド」が協力しています。キャップの粉砕は、社員の方が隙間時間にこうして粉砕機にキャップを放り混んでいます。
ペン立てやプランターになって学校へ
リサイクルされ、キャップは、こうしたプランターなどに生まれかわります。各学校の回収量に応じて、リサイクルされたプランター等が学校に戻ってきます。
ペットボトルのキャップが一般廃棄物のため、廃棄物処理法の地域での回収・処理の義務により、現在、大館市が、他の地域から回収したものを大館で処理することは原則できません。年間200億本のペットボトルキャップのほとんどは資源リサイクルされず、今、ごみとして捨てられ、燃やされています。法改正するとともに、全国で、こうしたペットボトルキャップのリサイクル活動を進めること。(まず、回収・運送のコスト、環境負荷を考えたリサイクルのしくみの検討が必要)
大館に関しては、こうした取り組みは、自然・環境学習型の修学旅行プログラムとして開発され、学校で生徒にペットボトルキャップを集めてもらい(私たちは年間一人当たり160本ペットボトルを消費している)、それをリサイクルするしくみを学ぶなども、環境学習ソフト化、社会科学習観光化につなげています。
一般廃棄物と産業廃棄物の違い 一般廃棄物とは、1970年の廃棄物処理法で産業廃棄物とされた以外のもので、 一般家庭から排出される家庭ごみ(生活系廃棄物)や、オフィスなどの事業所などから排出される産業廃棄物以外のごみ(事業系一般廃棄物)、そのほか、し尿や家庭雑排水などの液状廃棄物をいいます。 廃棄物処理法では、地域の一般廃棄物は、当該の地方自治体が収集・処理・処分の責任を負っています。 一般廃棄物の排出量(17年度/環境省) 年間5,338万t ペットボトル消費量 年間200億本(500ml換算) プラスチックの廃棄量 年間900万t以上 海岸や山などに廃棄されるプラスチック 年間1~2万t以 |
大館市における家電リサイクル事業の特性には、まず、もともとの地域資源、鉱山(非鉄金属)とその製錬技術が背景としてある。大館には、昭和36~50年代前半、豊富な鉱山資源のもと、日本の代表的な非鉄金属製錬企業が拠点を置いていた。しかし、オイルショックを契機に衰退、平成6年には閉山に追い込まれた。地域には、地盤沈下の保障問題や土壌の浄化の課題が残された。
大館の環境への取り組みは、平成8年、その土壌洗浄への取り組みから始まった。有害物質を取り除き、きれいな土にもどす。この負の取り組みは、土壌洗浄という他にはない強みに変わっていく。その中、平成12年、エコタウン事業の中で、大館に一社残った非鉄精錬企業のDOWAが、その鉱業技術と施設を活かし、家電リサイクル事業への転換を図っていくことになる。
家電メーカー6社も出資、家電リサイクル会社を設立
同和鉱業(株)は、家電メーカー6社の出資も得て、株式会社エコリサイクル設立。平成13年4月、家電リサイクル法施行に合わせて操業を開始しました。
大館以外の、北東北エリアから集まる家電
処理能力は、15万台/年。家電は北東北エリアから運び込まれる。業務用と異なり、一般家電では、様々な商品が入ってくる。それに対応するには、手分解しかありません。
解体作業は、セル方式、きめ細かい手分解処理
家電解体の機械化は難しい。ここでは、1人1台方式(セル解体方式)にて、きめ細かい手分解処理を行うことにより、有価物として回収する部材は全体の7割以上に達しています。 もともとある製錬の作業台も効率をUPする。
排ガスや廃プラスチック類等を無害化焼却、最終処分
大館の強みには、リサイクルして有価物を取り出した後の最終処分をそこで行えることです。隣接する「エコシステム秋田(株)」で無害化償却。最終処分場を有し、回収・処分を一か所で行えることです。
ここ数年でレアメタルと呼ばれる金属類の価格が高騰していることが一般にも知られるところとなってきました。その中でも、 その最大の消費国であり、かつ、資源を持たない国、日本にとって、深刻な問題になりつつあります。
そこで注目されているのが、携帯電話やパソコン, 家電などの電子機器の中にあるそれら金属資源のリサイクル。2008年1月、独立行政法人物質・材料研究機構の試算によると、国内に蓄積されているリサイクル可能な金属資源は、金約6800t(世界の現有埋蔵量の16%)、 銀が6万t(同22%), インジウムが1700t(同61.1%)となっています。
そのレアメタルの回収・資源ストックの試験事業が、2006年12月から大館ではじまっています。大館の強みは、レアメタルを環境汚染・産地の環境破壊等をせずにリサイクル(分解)、保管を、大館市内ですべて完結できるシステムです。
大館市では、市内スーパーなどに使用済み小型電子・電気機器の回収ボックスを設け、市民に協力を呼びかけた。携帯電話や電源ケーブル、MDプレイヤー、ゲーム機、デジタルカメラなど。募集三か月間でボックスには約1tの電気電子機器が集まりました。この回収実験をもとに、大館市は、東北大学と連携し、このレアメタルの資源循環構想を推し進めていく予定です。
大館市は、鉱山関連基盤を活かした環境産業の創出で着実に成果をあげてきました。この大館の成功のポイントはどこにあったのでしょう。大館市におけるエコタウン、リサイクル産業成功の条件として、以下の5つが挙げられます。
条件1.安定して、質の高い原材料の確保ができる
秋田杉を有し、木材・木製品製造業から排出される廃木材、木質建材廃材、家電リサイクル工場や二プロなどからバージンの廃プラスチック原料が安定して手に入る。
条件2.鉱山関連基盤、家電リサイクル工場、土壌浄化施設等を有している
そもそも非鉄金属鉱山、製錬所を有していた。その施設、技術を活用し、閉山後の土壌浄化から、手分解の家電リサイクル事業への転換を図ってきた。
条件3.地元と中央企業と連携したものづくり、産業クラスター化の成功
地元企業と中央企業が良いかたちの連携をはかり、産業のクラスター化が図られている。大手への場所貸しではない、連携によってイノベーションが生まれている。
条件4.高い品質とデザイン性を兼ね備えた、優位性の実現
中央企業と連携することで、高い品質だけでなく、デザインの実現も図られている。単に環境に良いだけ、品質だけは、モノは売れない。それを理解する中央の建材メーカーが、消費者が求めるデザイン性と販路が市場を形成につながっている。(今後、それに頼らない独自商品のデザインがカギとなる)
条件5.市民の環境意識が高く、リサイクルへ協力が得られる
小型電子電気機器やペットボトルのキャップ回収を見ても、市民の環境意識は高く、リサイクルへの協力が得られやすい。行政がどんなに頑張っても、こうした市民の協力がなければ、事業の成功はあり得ない。
・賑わい創出のまちづくり「にぎわいづくり研究室」の設置しました。
・「まちづくりの教科書No.1 中心市街地・商店街活性化編」発行しました。
起業、新規事業の立ち上げ、経営革新、地域活性化やまちづくりにおいて、企画書や事業計画書は、事業を成功に導く「成功方程式」を記した「戦略図」であり、「ロードマップ」。トレンドやニーズの分析、アイデア発想法、企画、戦略、ビジネス構築術、創業計画、新規事業の立ち上げ、経営革新計画、まちづくりプラン作成のアイデア・ヒント。
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