
2007年11月、新宿OZONEで「イタリアの誇り、偉大なる田舎」Slow展City/Life/Foodが開催され、これにあわせて、来日された日伊交流協会NINITAの事務局長、長谷川恵美さんに、イタリアにおける地域振興、スローシティの取り組みについて聞きました。
小さな町のブランドづくりに貢献する「イタリアの最も美しい町クラブ」BBIの認証制度など、イタリアで成果を挙げている取り組みを水津陽子がインタビュー。
日伊交流協会 NIXITA(ニクシータ文化協会)
事務局長 長谷川恵美
NIXITAは、ペルージャ日本語大学で働く日本人のスタッフを中心に、イタリア中部の豊かな中心都市の文化を日本に伝えるため設立された。イタリアの中心都市が、何故こんなに元気で豊かなのか、それを日本に伝え、何か日本のヒントになればという。
長谷川さん自身は、大学卒業後、日本で3年間働いた後、渡伊。イタリア在住7年目。現在、通訳や翻訳の仕事をしながら、NIXITAの事務局長をつとめる。
水津
イタリアは、以前からスローフード、スローライフ発祥地として知られています。ただ、NINITAなど、イタリアにおけるスローシティに関する取り組みは、それほど知られていません。今年、デンマークに行った際、南フュン観光局チーフから、スヴェンボー市が、「チッタスロー」というスローシティの認証を受けようとしていることを聞き、長谷川さんたちNIXITAのこともはじめて知りました。最初に、イタリアのスローシティへの取り組みをしておられる団体が幾つかあるようですが、まず、その違いからお聞きできますか。
長谷川
私たちNIXITAは、イタリア中部の豊かな中小都市の文化を日本に紹介することを目的として生まれました。5人のメンバーが集まり、2003年に設立されました。本部はイタリアで、メンバー全員イタリアに在住しています。自然と文化に恵まれた偉大なる田舎町と日本の中小都市を結ぶお手伝いが我々の主な仕事です。日本との関わりとしては、「日本で最も美しい村連盟と情報交換をしています。
今回、その中で、スロー展には、BBI「イタリアの最も美しい町」クラブというものをご紹介させて頂きましたが、この他に、今回ご紹介できませんでしたが、スローシティの取り組みをしている団体としては、「チッタスロー協会」があります。
長谷川
ただ、チッタスロー協会も、BBIクラブも、要するに目的とするところは同じなんですね。小さい都市を連携して活性化させていこう。イタリアの小さい町にも素晴らしい歴史や文化、遺跡が残っていますので、それをきんちと評価して守っていこう。また、単に、観光だけを呼び込むのではなく、まず、地域の人がきちんとそこで生きていける環境を整備して、それがツーリズムに反映していくのが一番だという考え方をしています。
大都市にあるように、大きなモニュメントがあるから、勝手に人が来るということではなく、人々が来ることによって、それで町自身も良く変わっていく、まち全体の環境が良くなっていく。町を盛り立て、元気になる。そういうことができることに、感謝する。そういう循環を作っていくことで、また町が発展していく。
BBI BBI Borghi piu belli d‘Italia イ・ボルギ・ピウ・ベッリ・ディ・イタリア。)2001年、イタリアの自治体協会 (ANCI)の観光政策評議会において、遺跡財産の擁護・再評価といった保存活動を目的に創設された。「イタリアの最も美しい町クラブ」として、町の認証をしている。対象とする都市は人口1万5千人未満の町。現在、158の町が認証を受けている。
チッタスロー協会 |
長谷川
イタリアには、約8千の自治体があり、うち40%が人口5000人未満の自治体といわれています。そんな小さい町が自分たちの町をPRするのはとても難しいことです。BBIの活動としては、フェスティバルや環境会議を通して町村の活性化を呼びかけるほか、それぞれの町の情報をまとめてホームページで発信したり、ガイドブックを作っています。現在、年間約8千部が売れていいます。
小さな町では、紹介しようとして写真を送ってくれと頼んでも良い写真がなくて、なかなか送ってこなかったりします。どうしてと思いますが、それが難しい。しかし、BBIに加盟していれば、ガイドブックにも紹介されます。規模の小さな町が、BBIというネットワークによってお墨付きをつけてもらうことによって町の自信になっています。
「SLOW-City/Life/Food展」オフィシャルブック
『イタリアの誇り、偉大なる田舎』
A4版 96頁 オールカラー 1,000円(税込)
日本抗加齢センター刊
長谷川
BBIは、2001年に創られたのですが、そのフィロソフィー的なものがみなさんから受け入れられて、ブランドづくりが非常に上手だったこともあると思うのですが、設立まもなく、入会の応募が殺到して、会長自らとても驚いているということでした。ただ、イタリアで資格のあるまちを全部認めてしまうと1000くらいになるので、200くらいを最高の数にしていこうとしています。今、年に6-7都市増えていっていますが、おおよそ300くらいの町から申込みがあり、一つ一つ訪れて、基準に達しているか見ていきます。
評価については、80点が満点で、48点が基準クリアの最低点となりますが、51点までの町は、18ヶ月の試用期間が置かれて、その間に、指摘されて事項を改善できない場合は、落とされてしまいます。これまでにそれで2都市が落されました。抜き打ちでのテストも毎年行っています。受かった時に満たされていたものが、その時にダメになっていれば、落とされます。それで、2年に一度は必ずチェックされることになっています。
水津
今後、人口が減る中で、国内の観光人口も減少します。インバウンドや海外の富裕層向けの観光の取り組みは欠かせませんが、そういう中で、どう地域の魅力を伝えていくのか、こうした町の格付け、認証ではグリーンミシュランが大きな役割を果たし、高尾などにも外国人が押し寄せています。
長谷川
町もにぎやかになれば、仕事も生まれます。実際、そういう町では、町を捨てて出て行った人も戻ってきています。そういう良い相乗効果も生まれています。その中には、大都市から戻ってくる人もいます。そういう人は、外から自分の町を見ていて、足りないものも分かっています。その取り組みも出てくると、それでまた町が良くなっていく。
小さい町には、ローマとかフィレンツェのように素晴らしい世界遺産とかがあるわけではないので、お祭りなど、頭をひねって、人に来てもらうためにはどうしたらいいのかを考えていかなくなてはいけない。ある職人の町では、毎年ガイテの市というお祭りがあって、紙透きだとかいろいろな職人の技を見せるイベントがあるんですが、そこは、同じものずっと続けるのではなく、3年経ったら、その内容を見直しをしなくてはいけないことになっています。
小さな町だとは2.3時間、それは小さな町に、リピーターとして来てもらうためには、漫然と同じことをしていてはだめだと。小さい町が生き続けていくには、自分たちの頭を常に刺激をして、新しいアイデアや意見を出して、変えていかないと飽きられてしまうんだと。せっかく創ったものを捨ててしまうのは、ちょっともったいない気がしますが、職人さん自体がそれを納得して、自分たちで自覚して、自分たちでやろとしている点が日本とは違う点です。
産業としての「職人工芸」はやはり効率が悪い仕事で、それで採算をとることは難しい。10時間作業をして、重労働だけど、収入は少ない。ただ、それを何とか残していかなくてはならないという職人の心意気はあります。それに頼っていて十分な支援もないのですが。イタリアにおいても、伝統の職人の技が継承されず、消えていっている現状もあります。
水津
日本でも、エコツーリズムやグリーンツーリズム、産業観光やエディテイメントなど、様々なニューツーリズムが広がりを見せています。そうした地域の歴史や伝統的な文化を守り、継承するビジネスモデルとして、地域観光は大きな役割を果たせると考えられます。
長谷川
「偉大なる田舎」というメッセージがありましたが、BBIの会長 フィオレッロ・プリミ氏 さんが、日本の田舎はどうしたらいいのかという問いを受けて、「自分たちが何を持っているのか、自分たちが何者なのかを知ることがまず最初じゃないか」と言っていました。
参考サイト
イタリア貿易振興会 http://www.ice-tokyo.or.jp/top/index.html
イタリア政府観光局 http://www.tabifan.com/italia/
・賑わい創出のまちづくり「にぎわいづくり研究室」の設置しました。
・「まちづくりの教科書No.1 中心市街地・商店街活性化編」発行しました。
起業、新規事業の立ち上げ、経営革新、地域活性化やまちづくりにおいて、企画書や事業計画書は、事業を成功に導く「成功方程式」を記した「戦略図」であり、「ロードマップ」。トレンドやニーズの分析、アイデア発想法、企画、戦略、ビジネス構築術、創業計画、新規事業の立ち上げ、経営革新計画、まちづくりプラン作成のアイデア・ヒント。
合同会社フォーティR&C
113-0022 東京都文京区千駄木4-2-22-201
TEL(03)5834-1647
FAX(03)5834-1648