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2011.7.18 フジサンケイビジネスアイ「inovations-i」コラム寄稿
中小企業の海外進出といえば、中国進出と同義語に近い昨今。欧米や新興国に目を向ける企業はまだ一部だ。近年、BRICsの一角「ロシア」は、資源大国として目覚ましい経済発展を遂げている。しかし、変貌するロシアとそのビジネスの可能性を、私たちはどれだけ正しく理解しているだろうか。
今回は、ロシアから絶大な信頼を得る日本の中小企業、株式会社エル・アイ・ビー(LIB)、高橋克弘社長の取り組みを紹介したい。国の重点港湾の一つで、ウラジオストックへのRORO船航路を有する、島根県西部の「浜田港」を拠点とし、中古車トレーダーから、今や総合貿易商社へ進化する成長企業だ。
写真提供:(左)浜田港振興会「浜田商港」
2008年、リーマンショックにより、好調に推移していた中古車売上高が激減。そのピンチに、より規模の大きいヨーロッパロシア市場に、地震や寒さに強い石州瓦や建材などを売り込む「攻めの経営」で、さらなるチャンスをつかむ。
今年1月、国の実証事業により、浜田港からシベリア鉄道を経由する輸送ルートが、従来ルートに比べ、輸送日数を4割(19日)短縮できることが証明された。ロシアなどの新興市場の進出に不安を感じる企業も多いと思うが、いつまでも内向きで、尻込みしている場合ではない。目の前にある大きなチャンスをつかむ。それが中小零細でもできることをLIBの取り組みから紹介したい。今回は、前後編にわけてお送りする。


LIB 高橋克弘社長、ロシア日本製ドア展示場、日本食品アンテナショップ
浜田港は、東に海産物を扱う「浜田漁港」、西に輸入木材などを扱う「浜田商港」を持ちながら、開港以来100年、コンテナの上がったことのない港だった。1997年、浜田商工会議所に「海外取引研究会」が発足。韓国との経済ミッション(商談会)を行った際、釜山の海運会社の社長から、「こんなに立派な港があるのに、なぜ積極的に活用しないのか。中古車販売の対応ができるなら、ロシアの客船を紹介しよう」といわれた。
研究会は、島根、広島の自動車業者数十社に働きかけ、モータープール(駐車場)を整備。1997年6月、浜田港にはじめて貨客船が入港した。中古車80台からのスタートだった。翌年11月には、自力でTEUコンテナ30個の荷を仕立て、浜田港に入港させた。
そこに追い風が吹く。石油価格高騰により、1998年、ロシアの経済成長がはじまる。以降、売上は右肩上がり。ピーク時には、日本からロシアへ60万台の中古車が輸出され、LIBの2007年の売上高は130億円に達した。2006年には、好景気を背景とするロシアの建築ブームに、日本製の室内ドアなどの建材輸出がはじまる。浜田港に入港する「貨客船」は、貨物船と客船の二つの機能を有する。貨客船は荷物を運ぶだけでなく、車を買い付けるロシア人客も一緒に連れてくる。港で気に入った車を買い付け、市内観光などにくり出す。地元への経済波及効果も大きい。
貨客船には、もう一つ大きな強みがある。空き室など、隙間スペースにはドア一枚から積み込むことができる。高橋社長はいう。「売れるものであれば、うちは一箱から載せます」LIBは自社で、売れそうなものを全国から買い取り、船に載せている。
2007年には、野菜や果物の輸出もはじまった。地元産品のメロン、スイカ、米などが続々とロシアに輸出されはじめている。取り扱う日本製品は、北海道から九州まで、日本全国から集められる。
2008年には、教育ビジネスが熱を帯び、LIBの取引先、ロシアのアルゴス社が、ロシア初の日本の子ども用品店をオープンさせた。その背景には、ロシアのこども政策がある。
後編では、LIB高橋社長がどうロシアと強い信頼関係を作っていったのか。ロシアビジネスの可能性や今後について考えていきたい。
※「重点港湾」とは、国が、全国にある重要港湾103から、重点化を図る43港を選定した。
※RORO船(Roll-0n/roll-off ship)は、クレーンを使わず、直接、自動車を運転し船内に収容できる。
※ヨーロッパロシア(欧露)は、ロシア連邦のうち、ウラル山脈の西、ヨーロッパに属する地域をさす。首都モスクワやロシア第二の都市サンクトペテルブルグなどの巨大市場がある。ウラジオストックなどは「極東ロシア」に区分される。
※TEUとは、20フィートコンテナの単位。幅2.4m、長さ6.1m、高さ2.6m、39立方メートルの荷になる。
浜田港の歴史
明治32年(1899年) 「浜田港」開港
平成9年(1997年) 浜田港に初めて「外国客船」入港。浜田商工会議所「海外取引研究会」発足。
平成11年(1999年) 福井地区に5.5万トン・バースを整備。
平成13年(2001年) 3月 韓国・釜山港への「国際定期コンテナ航路」就航(現在、週1便)
平成19年(2007年) 07年の浜田港からロシアへの中古車輸出111億円
平成20年(2008年) ロシア・ウラジオストック港と「RORO船航路」就航(当初、月2便)
平成21年(2009年) クルーズ船「飛鳥Ⅱ」初寄港
平成22年(2010年) 8月 国の重点港湾43港の一つに、全国重要港湾103の中から選定。
平成23年(2011年) 1~3月 浜田港におけるシベリア鉄道等を利用したトライアル輸送
参考リンク
恋するまち・商店街~地域活性化・まちづくりコンサルタントの全国漫遊記
http://machitabi.blog89.fc2.com/

国交省 中国地方 港湾整備局 http://www.cgr.mlit.go.jp/chiki/kouwan/
浜田港振興会 http://www.hamada-minato.jp/
コラム「地域発!こだわり企業が全国区になる 顧客満足と差別化のポイント(全10回)」は、2011年6~8月、フジサンケイビジネスアイ「イノベーションズアイ」に寄稿したものです。
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○新ルートでロシア貿易に新たなチャンス!(前)
建材、食品、一箱から
○新ルートでロシア貿易に新たなチャンス!(後)
巨大市場ヘ最短ルート
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