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農商工連携、六次産業のビジネスモデル! 健康ブームの熾烈な戦い制す

2011.6.27 フジサンケイビジネスアイ「inovations-i」コラム寄稿

 

健康ブームの中、成長した市場に「ビネガードリンク*」市場がある。1996年タマノイ酢が「はちみつ黒酢ダイエット」を発売して以降、市場は拡大。2006年には市場規模は255億円に達した。そのブームをけん引したのが「黒酢」だ。

 

黒酢は、もともと鹿児島県のローカル・ブランドだった。それが、その健康成分に注目が集まり、一気にブランド認知が進んだ。黒酢は、健康、美容、ダイエットの分野で評価が高い。市場は「飲む酢*」や「サプリメント」などの分野に広がっている。

 

福山黒酢福山黒酢


しかし、健康食品のブームは短い。ビネガードリンクに関していえば、2007年には淘汰が始まり、2008年、市場は166億円へ縮小した。常に次のブームを求め、猫の目のように目まぐるしく変化する市場で、企業が勝ち抜き、自らのブランドを確立するには、何が必要だろうか。


2008年から国が進めてきた農商工連携、農林水産業の6次産業化政策。2011年3月には「6次産業化法」が施行されたが、現実は厳しい。今回は、黒酢の6次産業化で、独自ブランドを築く「福山黒酢株式会社」の取り組みを紹介したい。

 

*ビネガードリンクはストレートでそのまま飲む「酢飲料」。希釈し「飲む酢」含まない。

 

地域ブランド「勝利の方程式」~6次産業化の流れ

食酢の市場規模はおおよそ1000億円*。近年は、地域資源を活用した特産品づくりも盛んだ。サトウキビ酢、柿酢、梨酢・・・地域では様々なお酢が造られている。ただ、多くは造るところで息切れして、どこで誰に売るのか考えていない。単にお酢を造って、瓶に詰めただけでは、今の時代モノは売れない。

 

福山黒酢福山黒酢


鹿児島県霧島市福山町は黒酢発祥の地、その歴史は200年以上になる。その中で、福山黒酢株式会社は、平成14年創業と後発組だ。関連会社に生コンなど建設関連企業が名を連ねる。 事業内容は、黒酢製造にとどまらず、商品の試飲ができるショップや黒酢レストランを併設。大型バス7台分の駐車場も備えている。ショップ横で黒酢の壺畑の見学もできるため、今や観光名所の一つとなっている。


今、自社で製造、小売り、飲食、サービス業を一貫して提供する、自社完結型の6次産業化は、地域の優良の企業ではマストになりつつある。人口減少で国内市場は確実に縮小に向かっている。生き残るには、海外に打って出るか、今ある顧客の囲い込みで、収益力を高めるしかない。


小布施の枡一酒造*、長野のサンクゼール*、小豆島の井上誠耕園、島根の石見銀山生活研究所*など、いずれも6次産業化を進めている。福山黒酢もその一つといえる。*は拙著 朝日新書「ロハスビジネス」(共著)に事例紹介がある。


黒酢の壺畑の見学は、団体客に限らず、マイカーや観光タクシーの個人客にも対応している。野外に置いて、黒酢を発酵熟成させるアマン壺。それを熟成年月別に開けて見せ、福山黒酢がどのようなこだわり、製法で造られているかを説明してくれる。 通常、市販の黒酢の熟成期間は半年から1年。これに対し、福山黒酢はその倍以上、2年をかける。黒酢は熟成期間が長ければ色も濃く、風味も深くなる。客はこだわりのものづくりに納得し、購入意欲を高める。

 

*食酢の市場規模・・・2007年読売新聞調査より

 


ニーズに応えた商品、伝える提案力、アピール力

福山黒酢福山黒酢

福山黒酢の商品はすべて、ショップで試飲ができる。飲みやすさにこだわった「生フルーツ黒酢」は、消費者に人気が高い「りんご」のほか、「ブルーベリー」「いちご」など五種類があり、飲み比べができる。
お酢飲料は、飲みにくさから敬遠される面がある。近年、飛躍的に飲みやすくなった「青汁」と比べると、まだまだ飲みにくいイメージがある。お酢飲料が敬遠されるのは、そうした消費者のインサイト(無意識)が大きく影響している。


試飲してもらうことで、消費者の先入観や思いこみをなくし、商品の良さを実感してもらえる。この商品は500ml、希釈して飲むタイプで、価格は2500円~。試飲せずに買うには、ちょっと抵抗がある。
試飲用のカップはすでにテーブルに用意されており、気軽に試せるのも大きい。試飲のハードルが高いと、機会を逸する。試飲のストレスがない分、気兼ねなく、いろいろな商品を試せる。お気に入りの商品が見つかれば、購買やリピートにつながりやすい。


また、同社のブランド「桷志田(かくいだ)」は、2009年日本抗加齢医学会で、活性酸素を除去しながら抗酸化力をアップすると発表され、注目を集めている。
ショップには、この酢を飲んで痩せたというスタッフの立体パネルがあり、見ていると、スタッフその人に声を掛けられた。パネルは使用前、目の前にいるのが使用後。そういう見せ方も実に上手い。声をかけるタイミングも絶妙だった。


商品購入の際は、顧客の囲い込み、会員登録への誘導もしっかり行われていた。商品は同社のサイトでも販売している。会員向けに送られるDMはがきでも継続購入できる。リピートさせるしくみもぬかりがない。
施設は明るく開放的で、接客の質、ホスピタリティも高かった。レストランの利用までは時間がとれなかったが、次回機会があれば、利用してみたいと思う。再来訪意欲を掻き立て、こうして口コミにもつなげている。ブランド力評価でも、高い評価を得る企業の一つだろう。 

 

参考リンク

恋するまち・商店街~地域活性化・まちづくりコンサルタントの全国漫遊記

http://machitabi.blog89.fc2.com/

恋するまち・商店街ブログ

全国食酢協会中央会 http://www.shokusu.org/index.html
農林水産省 黒酢の定義(基準) http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/0504/04.html
農林水産業の6次産業化(農水省) http://www.maff.go.jp/j/soushoku/sanki/6jika.html

 

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コラム「地域発!こだわり企業が全国区になる 顧客満足と差別化のポイント(全10回)」は、2011年6~8月、フジサンケイビジネスアイ「イノベーションズアイ」に寄稿したものです。

 

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